2025年9月の読書録

みみみ!の本棚
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こんにちは、みみみ!です。

2025年9月の読書録の紹介です。今月は休日は推し活に費やしたり、お仕事が忙しかったので2冊です。最低ラインこれくらいは維持したいな…!

では良ければご覧ください。

星が人を愛すことなかれ

  • タイトル:星が人を愛すことなかれ
  • 著者:斜線堂 有紀
  • 第4回「本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」受賞
あらすじ

令和最注目の作家・斜線堂有紀が描く、推し(アイドル)の恋。ウェブ掲載の作品に書き下ろしを加えて書籍化!!

解散寸前だった地下アイドル「東京グレーテル」を、ひとりのカリスマ―赤羽瑠璃―が躍進させた。
人気グループとなり輝きだした「東グレ」。しかし光の中のアイドルたちも、ステージを降りれば人生が待っている。
推される側の”恋”と”生”の物語。

「見ててね。私が最高の人生、使い切るところ――」

『ミニカーを捨てよ、春を呪え』
冬美は結婚を意識している恋人・渓介がいる。けれど、恋人は赤羽瑠璃というアイドルを推しており、全てにおいて彼女を優先する。推しと恋人、本当に愛されているのはどっち?

『星が人を愛すことなかれ』
「東京グレーテル」の元メンバー・雪里は、Vtuberとして活動している。生活時間のすべてを配信のために捧げる彼女は、いまや100万人に愛される人気Vのひとりだ。その代わり、雪里は次第に恋人との時間すらとれなくなっていく。

『枯れ木の花は燃えるか』
「東京グレーテル」のメンバー・希美は地下メンズアイドル・ルイと付き合っている。ある日、ファンとのベッド写真が流出してルイのSNSが炎上。希美は復讐の為にルイと関係を持ったファンと会い、炎上を加速させてルイを叩き潰そうとするが──。

『星の一生』
「東京グレーテル」のカリスマ・赤羽瑠璃。かつて自分のファンである渓介に恋をし、ストーキングのあげく部屋まで侵入した女。それでも渓介を諦められない瑠璃は、彼のSNSアカウントを監視し続けてしまう。そしてある日瑠璃は、渓介が恋人と結婚式を挙げることを知る――。

(集英社 HPより)

感想

7月に読んだ『スターゲイザー』が面白かったので、アイドルがテーマの本がないかな~ということで探してきた本です。

著者の斜線堂 有紀さんの作品は何個か読んでいて、まあまあ面白かった記憶があったので期待しつつ選びました。結果として、恋愛小説というよりもヤンデレ小説感がありましたが、中々に楽しめました。(自分が現在アイドルにはまっているのも大きいかもしれませんが、、、)

キラキラした偶像としてのアイドルではなく、アイドルとして活動する1人の人間としての小説というのが正しい気もします。また、Vtuberの話もあったりと時流に乗った内容になっているのも私は好きでした。

ちなみに全編を通して出てくる『赤羽瑠璃』は『愛じゃないならこれは何』という作品の『ミニカーだって一生推してろ』の主人公として登場しますし、『東京グレーテル』関連ですが『君の地球が平らになりますように』の『「彼女と握手する」なら無料』でも描かれています。余裕のある方は先にこれらの作品を読んでみると良いかもしれません。

以下、ネタバレありのためご注意ください。

・ミニカーを捨てよ、春を呪え

恋人がドルオタである冬美の苦悩を描いた話。アイドル 赤羽瑠璃(ばねるり)や恋人である渓介(めるすけ)も前作で既出であるが、知らなくても楽しめる内容。

自身もドルオタ(になりつつある)私からすると、「大切なもの2つを天秤にかけさせることはしないで…」と思ってしまうが、冬美の気持ちも実は理解できる。SNSでも「リアコ」「ガチ恋」だったり、時間とお金の全てを捧げていたり、と見える人も多数いらっしゃる気がする。私だってパートナーがそんなんだったら不安だ。

あと個人的にはドルオタって「日陰者」であり、大々的に太陽の下を歩く趣味ではないと思っているから、最近の推し活を全肯定する空気感には首をかしげるところもある。(やっぱり負の側面もあるとは思ってる)

その点からすると渓介はまだ節度のあるオタクなようにも見えるが。。。実際に『アイドルだぞ。そんなんじゃない。』という発言もあったし。

結局冬美も不満は抱きつつ、渓介に恋人失格の烙印を押しつつ、それでも別れることはしない。何なら最終編では結婚までしてしまう。自分と釣り合っているから、という言い訳をしつつも、冬美が渓介の行動に目を瞑ること、渓介に執着することこそ愛ではないかと考えてしまう。

・星が人を愛すことなかれ

Vtuber 羊星めいめいとして活動する元東京グレーテルの長谷川雪里は、自身の時間を全てVtuberに捧げるために彼氏である龍人と別れる選択をする。

私からすると、Vtuberでなくても「仕事に全力投球したいから」「チャンスを掴むため海外に行きたいから」という仕事が理由で別れることは良くあることでは?と思ってしまった。ただ泳ぎ続けないと死んでしまう魚のような、こういう人気商売の儚さを少し感じて、自分の推しと重ねて、心配にもなった。

・枯れ木の花は燃えるか

東京グレーテルの香椎希美視点で語られる、恋人アイドル ルイのファンとの繋がり(浮気)の話。みんな「自分こそが本命」だ信じたくて想い出に縋ってお互いにマウントを取ろうとしてしまうところが、なんとなく「ファンサ」や「認知」を過剰に求めて自慢するドルオタの負の側面(私にもある)と重なってしまい、心に刺さった。

・星の一生

第一編と対照的に赤羽瑠璃とめるすけのお話。であるのだが、2人の間には恋も愛も何も存在しない、どころか始まってもいないため、悲劇とも呼べないところがまた哀しい。完全なる一方通行である。

完璧なアイドルである『ばねるり』は実は『めるすけ』の作り出した幻想を瑠璃が演じているにすぎず、その原動力は瑠璃のめるすけへの「愛」である。だというのに、だからこそ、完璧なアイドルであるばねるりは一介のファンであるめるすけに想いを伝えることすらできないのだ。

第一編の冬美視点ではなんでも手に入れているように見える赤羽瑠璃だが、逆の瑠璃視点では本当に欲しいものには手も伸ばせないという対比が非常によくできている。

読了後は現実の世界では推し含めみんな幸せならいいなとか、結婚式で推しの曲流すって良いなとか、色々と考えてしまいました。

ネバーランドの向こう側

  • タイトル:ネバーランドの向こう側
  • 著者:佐原 ひかり
あらすじ

文化センターで働く30歳の実日子。実家で何不自由ない生活を送っていたが、両親が交通事故で亡くなり、母方の叔母と同居することに。箱入り娘で、家事ができず、世間知らずな実日子と合理主義の叔母は全く波長が合わず、実日子は人生初めての一人暮らしを決意するが……。新居であるメゾン・ド・ミドリで出会った大学生サイトーくんや声優の新田さん、お見合い相手の椎名さんとの交流の中で、実日子は少しずつ強くなっていく。

 大人になり切れない大人の葛藤と進歩を描く、ハートフルストーリー。

(PHP研究所 HPより)

感想

佐原ひかりさんの著書を読むのは5冊目かな?

あらすじから想像する以上に何もできない主人公 実日子にヤキモキしながらも、その成長や突拍子もない行動に楽しく読むことができました。登場する人物も大体みんな温かいので、読んでいてほっこりするようなお話です。

以下、ネタバレありのためご注意ください。

序盤、実日子の『箱入り娘』の例として「玉ねぎを切れない」ことや「洗濯機が回せない」ことが出てきたが、やりすぎ感がある。あまりの駄目さ具合に実日子はニートなのかな?と思えば普通に仕事はしているし、そこは少し違和感があった。

引っ越し後からは謎の行動力を発揮して、お見合い相手の椎名さんと仲良くなってみたり、隣人のサイトー君にいきなり引かれてみたり、初対面の新田さんと打ち解けてみたり、小学生と友達になってみたり、おばあちゃんに慰められてみたり、髪を切ったり染めたり…とやりたい放題(笑)

ちょっと現実ではあり得ないな~と思いつつ、話としてもキャラとしても嫌いじゃない(むしろ好き)なのが自分でも不思議な感覚だった。きっと、両親と仲良く穏やかに過ごす箱入り娘な実日子も、ちょっと考えなしで突っ走る実日子もどちらも彼女の一部分だと感じられたからかも。このあたりが佐原ひかりさんの上手いところなのかな。

最終的には情報商材屋とも真っ向対立もできるようになり、人との縁を繋ぎたいというやりたい目標を見つけるまでに成長した実日子。周りに恵まれたのもあるが、椎名さんの言う通り、性別や年齢や立場に囚われず人と接することができる実日子の特性によるところも大きい。

時と場合にもよるが、「相手を一人の人間として尊重する」ことは人とかかわっていく上でとても大切なことだな、と再認識できるお話だった。『歩み寄りと適度なあきらめ』ということばもとても印象的だった。

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