こんにちは、にもです。(Twitterはこちら)
今回は自分がうつ病になってしまってつらいとき、読んで良かったと思った本を紹介したいと思います。

自分にも当てはまる内容が多く、「自分もそうだった」「確かに」と共感できることが多く書かれており、その当時感じていた孤独感が和らぎました。
うつを癒やす 著:大野裕
飛鳥新社から2010年に発行されている、100ページにも満たない本ですが、内容としては共感できる内容が非常に多く、「辛い心を和らげたい」ときに特にオススメする本です。
【オススメ度:9.5点 / 10点】

簡潔に書かれていてまだ本調子でないときにも読みやすい内容・量であることもGOOD!沈んだ気持ちに寄り添ってもらえるような内容で、少しこころが軽くなりました!

うつ病の症状等も載っているので、ご家族の方にも良いと思います。私も昔に読んでいたらもっと早く医者にかかることを夫に勧められたかもしれません。

逆に根本解決を望んでいる人には向かないかもしれません。その場合は同じ著者で『こころが晴れるノート』という書籍があるので、そちらで認知行動療法を試してみるのもオススメです。
共感できたことばの紹介
うつ病のつらさ
なぜか涙が止まらない。体が鉛のように重い、少し体を動かしただけで疲れ切ってしまう。今まで楽しめたことが楽しめない。しかもうつ病のつらさは他の人に見せてわかってもらうことができません。傷だったら、傷口を見せてその大変さをわかってもらえます。高熱が出ているときにも、体温計を見てもらえばわかってもらえます。でも、心の痛みは、そのように見て分かってもらうことができないのです。
うつを癒やす 著:大野裕

うつ病になって辛かったことは沢山ありますが、『様々な体の不調が起きているはずなのにそのつらさを分かってもらいにくい』ということ自体もつらかったです。特に初期のころは、うつ病だと認めることもつらく、平気なふりをしたりしてしまっていました。それもやがて限界がきてしまったのですが…。
どうすることもできない
うつ病の人も自分で何とかして目の前にある仕事や家事をやりたい、やらなければならないと焦っています。そして、できない自分が情けなくて許せない、自分は弱い人間であり、情けない人間だと気分が沈んでいる。そのこと自体がうつ病の症状なのです。
うつを癒やす 著:大野裕
これは正にその通りで、自分の中でも何度も問いかけた言葉です。自分が弱い、怠け癖なんじゃないか、頑張ろう…でも、できないのです。どうしても体が動かない。涙が出て、頭は回らずどうしたらいいのか分からない。でもやらなければ、とどんどん負のスパイラルで自分を追い詰めてしまっていました。
「まだ頑張れる、やれる」という言葉は危険信号
うつ病になりかけたとき、朝起きるのがとてもつらくなった。(中略)でも、その人は、「まだ大丈夫」と自分を励まし続けました。そして、ある日の朝、とうとう体が動かなくなって、長期の休養に入ることになってしまったのです。(中略)でも、普段の生活で、あんなに何度も『大丈夫だ』って自分にいいきかせることはありません。
うつを癒やす 著:大野裕
この本で一番はっとさせられたのはこの部分かもしれません。自分も振り返ってみると『まだ頑張れる、やれる』とずっと自分に言い聞かせて仕事をしていました。でも、確かにこんなに長い期間そんな言葉を自分にかけ続けたことなんてなかったです。自分でも心に何か危機的な状況を感じながら、それを抑え込んで自分を納得させようとしていたのだと思います。
うつ病になってしまうのは弱いから?
しかし、うつ病になるのは弱いからではありません。たまたま運悪くストレスをため込んでしまい、心のエネルギーが低下してしまったのです。
うつを癒やす 著:大野裕
自分は自分のことを弱い人間だと思っています。でも弱いなりに頑張ってこれたはずなのに、どうして、やっぱり自分が思うよりももっと弱い人間だったのか…。そう考えてしまっていた私にとって、『運悪く』という言葉は非常に救われる言葉でした。冷静になって考えてみると、自分よりもよほど強い(強く見える)人であっても、心の調子を崩してしまっていたことがありました。人によって耐性はちがうとは思いますが、ある程度は『運悪く』なのです。大切なのは、『運悪く』ストレスが溜まってしまったときにどう対処していくかなのだと、今になっては思います。
これって病気?病気じゃない?
正常と異常にはっきりと区別できる境界があるわけではありません。白から薄いグレーになり、そのグレーが濃くなって、最終的に黒になる。そんなふうにイメージしてみてください。そんな中、辛い気持ちが強くなってきたとき、日常生活に支障が出てきたとき、治療が必要とされるのです。
うつを癒やす 著:大野裕

最初の方にも書きましたが、自分はこれに対して非常に悩みました。目に見える怪我でもないし、明確な境界もない。また、自分には一つの大きなきっかけも思い当たらない。だからこそ、本当に病気か、医者にいくほどか、ずっと迷ってしまっていました。医者に行った後も、自分は本当に病気なのか確信は持てないまま。血液検査をすればある程度は分かるようなのですが、色々あって検査をしないままになってしまったので、今でも実は悩んでいます。医者へかかり始めはつらくて余裕がないかもしれませんが、血液検査をしておくことをオススメします。
こころのブレーキが利かない
しかし、精神的に疲れているときには、心のブレーキをかけるエネルギーがなくなって、つらい感情がそのまま表に出てしまいます。相手の言葉をちょっとかわして、他の提案をする余裕もありません。
うつを癒やす 著:大野裕
今となってはなんでそんな感情になったのか分からないくらいなのですが、会社を休み始める前にこんなことがありました。
私が在宅勤務をしているとき、出社していた同僚が『共用ロッカーの鍵がないのだけど、誰か知らない?』と共有チャットで質問を投げました。その途端、何故か私は『自分が鍵を使って返し忘れてどこかへ失くしてしまったんだ!』とパニックになってしまいました。私が以前使ったのは約2週間前だったにもかかわらず、です。
居ても立っても居られず、すぐに出社をして自席や個人ロッカー等を隅々まで何度も探したのですが当然見つかりません。結局は前日に使っていた人がポケットに入れっぱなしだったという、それだけの話だったのですが、その時私は確かにとてつもない恐怖に襲われていました。まさに心のブレーキをかけるエネルギーがなくなってしまっていたのだと思います。

自分の感情がとても不安定で、かつマイナスの揺れ幅がとてつもなく大きくなってしまっていたのだと思います。冷静な判断力なんてこれっぽちも残っていませんでしたね…。
楽しめないことは無理してやらない
しかし、うつ病というのは「楽しめない」病気です。ですから、休みを取って少しでも楽しむことができるなら、それは大切な治療になります。(中略)そのときどきの体調で、できることもできないこともあります。勧められたことができないと、できない自分が情けなく許せなくなります。
うつを癒やす 著:大野裕

好きなことが「楽しめない」なんてことがあるなんて、それがその日の体調で変わってくるなんて、病気になるまで思ってもみませんでした。外に買い物に行けるようになったと思ったら、次の日は布団から出られない、なんてこともありました。そういうことも自分だけじゃないんだと思うと、少し自分が許せたりもしました。
薬は飲んだほうがいい
しかし、「心」に作用する薬を飲むことに抵抗感を持つ人が多いのも事実です。薬に頼るなんて情けない。薬を飲むと人間が変わってしまうんじゃないだろうか。
うつを癒やす 著:大野裕

自分も正直抵抗があったので、医者に行くまでに時間がかかりました。ただ、自分の場合はとても効いたと感じています。薬だけのおかげではないかもしれませんが、薬で多少冷静にものを考えられるようになったことが、それまでの負のスパイラルから脱出できた大きな要因だと感じています。
うつ病が教えてくれること
たしかにつらい体験だけれども、しゃにむに突進しようとしていた自分を立ち止まらせ、一息つきながら周囲を見渡す必要があるということを教えてくれている、と考えることができます。そう考えれば、うつや不安はただつらいだけの体験ではなくなります。(中略)自分を追いつめてしまう自分の良くない癖に気づいて、その後の人生を有意義に生きていくことができるようにもなります。
うつを癒やす 著:大野裕
自分が病気になって、同じような経験をした人と話す機会も増えました。多くの人が「当時休んで良かった」と仰っていました。正直、自分はまだそこまでプラスには考えられないですが、確かに会社を休む前後で決定的に何かが変わったと感じています。いつかはこの感覚が『休んで良かった』に繋がれば良いと思っています。
さいごに
自分の備忘録も兼ねて、共感できたことばを中心にそれに対して感じたことを書きました。
うつ病にかかってつらかった私にとって、『共感できる = 自分以外にも同じ悩み苦しみを抱えている人がいる』ことは非常に勇気づけられることでした。きっと他の人が読めば、他の箇所で共感することもあるでしょう。この本の気になった箇所を何回も読むことで、つらい気持ちにも誰かが寄り添ってくれる、そんな温かさを感じることができると思います。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました!